税金逃れのインバージョンは悪なのか?オバマ大統領は「脱走兵」と非難。

力のあるアメリカ企業は、法人税率の低い国外に本社の移転をしたり、海外の企業を買収したりと節税対策が盛んだといいます。

インターネットの発展で、モノ・金・企業・人などあらゆるものが国境をたやすく超えています。世界中のあらゆる場所から自社商品の注文が来るようになったら納税義務地は、水が低きに流れるように、税金の安い地域に移動するのは当然だと思えます。
米企業節税のため海外へ
2014年8月28日の「朝日新聞」に掲載されていた記事。

インバージョンはグローバル化のあだ花

法人税率のより低い国に本社を移転する動きをインバージョン(課税逆転)と呼びます。

これは個人レベルでも起きている現象だと聞きます。日本人でもインターネットに繋がる環境で、どこに住んでいても仕事ができる、IT技術やプログラミングなどの技術を習得している人であれば、日本国内であれば東京都心ではなく生活コストの安い、地方や僻地に住居を構えたほうが可処分所得が多くなります。

これが英語のできる人であれば日本国内にしばられることもなくなります。日本に比べ、税金が安く、生活コストも安い国外に移住したほうが、生活はより豊かに、よりリッチになることができます。個人レベルであってもこれが実行されている世の中なのですから、高い法人税を支払っている大企業ともなればインバージョンは当然の選択肢となります。

タイの大量代理出産事件も根っこは同じ

先日話題になっていたニュースに、日本人男性がタイで代理出産、マンションの一室でベビーシッターを雇って集団保育していたことが報じられました。

日本人の男性実業家(24)がタイで16人の子どもを代理出産させていたとされる問題で、タイ医師協会のソムサック会長は27日、代理出産を手がけたバンコク市内の医師(40)の話として、男性が代理出産の理由を「(将来)子どもに海外のビジネス拠点の経営を任せたい」などと説明していたと明らかにした。
「朝日新聞デジタル」より

同時並行的に複数の子どもを出産させていたことから、ちょっと異常な事態としてニュース性は高かったようです。しかし、違法性は(現在のところ)ないようなので報道も沈静化してきていますね。もともと、殺人や強盗などの犯罪とは違うのですから糾弾される意味がないとも言えます。

代理出産をさせていた資産家の日本人男性のコメントが出てこないので本当のところは分かりません。しかし、代理出産が制度として利用できる(タイという)国を選んでいること。将来の資産分割やビジネスの継承、果ては遺産相続による相続税・贈与税を見据えた動きとして複数の国に拠点を持っている点は、企業のインバージョンと同じ根っこを感じさせます。

場所に縛られない納税者には何を提供するべきか

場所に縛られないビジネスを展開している企業や個人には納税地を選ぶ自由があります。選ばれた納税地の施行者は、納めてもらった税金を「何に・どのくらい」つかうかを決めることが仕事です。道路や公共の施設、上下水道や高速インターネット網などの社会的インフラを整備して納税者に提供するのが仕事であると言えます。

新聞報道によるとオバマ大統領は、インバージョンをしようとするアメリカ企業を「企業版脱走兵」だと厳しく非難しています。大統領は逃げようとする納税者を非難するのではなく、納税者が魅力的に感じるインフラや保険制度を整備すべきでしょう。支払う税金に見合ったサービスが提供されることが分かれば納税者は自然と集まって(帰って)きます。

仮に、インフラ・保険制度・治安がどこの国でも一緒だとしたら、より税金が安い国に逃げ出そうとするのは避けられないことだと考えられます。

気になるまとめ

日中もしくは日韓の空気が微妙に悪くなっています。戦争になるのでは、と心配する人たちも少なくないように感じます。このご時世に、国を背負って敵対する国と戦おうとする人は、どれほど残っているのでしょうか。

どこに居ても稼ぐ力を持っている人は、戦争に突入すれば、真っ先に第三国に移住するでしょう。そして得られることのない戦いを、きっと冷ややかな目で眺めることになるのでしょう。

これは資産を持っている人でも同じです。大事な資産と自分の家族は安全な国に移して、高みの見物を決め込むかもしれません。

政治を行っている人たちは、このような冷ややかな国民が一定数いることを心に留めておかなければいけないでしょう。そういうバランス感覚を持たずして他国との交渉に臨まないと、戦争をしようと思ったときには兵隊が誰もいないなんてことになりかねません。

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